JR目黒駅西口から徒歩１分の心療内科。目黒心療クリニックです。

治療の解説

　

私たちは自分が現在置かれている状況を主観でもって判断しています。この主観による判断は‘考えのクセ’として半ば自動的にそして適応的に行われています。しかし一旦、強いストレスがあればこの判断に偏りが生じて非適応的な反応を示すようになりその結果として不安感や抑うつ気分が高まります。その結果、行動も非適応的となって更なる判断の歪みが強くなるという悪循環が生じます。この認知の偏りに自ら気づいて修正、あるいは‘距離を置いて’問題解決をする事を目標とした精神療法です。概要として以下のようなものを一緒に学んでいきます。

心理教育：認知ー感情ー行動ー身体の相関についての理論を理解していただきます。この理解が進むと、休養、健康的な生活（規則的な食事と運動、過度な飲酒を控えることなど）、楽しみやくつろぎの時間の確保といったものが心身のバランスにとってどのような役割をはたしているのかもわかってきます。

行動活性化療法：日常生活を自らモニタリング表に記入し、これまで気づかなかった抑うつの時間帯やその時の行動について一緒に見つけていきます。そして日常生活のリズムを取り戻すとともにこれまで自分が回避していた行動の特性を把握し、そして「行動療法」の手技を取り入れて改善していきます。
自ら行動を変えて気分が変わってくると体調も良くなっていくので「認知」そのものも修正されます。そのため「行動活性療法」のみでもうつ病に対して高い治療効果がある事がわかってきました（精神神経学雑誌：2015年117巻18-48頁）。当院はCBTのセッションを受けていない患者さんにも「行動活性化療法」を取り入れていますが、この行動の活性化の有効性を同様に確かめています。

→「あの事はあんなに心配していたが、やってみたらそうでもなかったなあ」、「こんなことならもっと早くやっとけばよかった」などと考えた経験は日常生活で誰しもあることだと思いますが、これが行動によって認知も変わってくるという例になります。

認知再構成法：カラム法、スキーマの同定、問題解決法など一連の「認知療法」を主治医と一緒に取り組んでいきます。ところでカラム法は色んな本に紹介された有名なものですが、医療従事者の中にはこのカラム法を患者さんにやらせることが認知療法と勘違いしている方がたくさんいます。

　近年の認知行動療法は英語でMindfulness（マインドフルネス）と呼ばれる考えを融合して発展しています。これはわかりやすく言うなら「物事を主観を交えず冷静に見つめる」態度となるでしょうか。アメリカの心理療法が「自分の価値づけを一旦棚上げして、無批判にそのものしか見ない」という仏教の禅の考えを取り入れているのです。この態度は日本で生まれた森田療法とも共通しています。古典的な認知療法では認知の歪みを見つけたら積極的に修正する技法が推奨されましたが、マインドフルネスに基づく認知行動療法では患者と認知の関係を変化させる様に指導しています。
　例えば、否定的な認知に気づいて無理やり制御しようとすればその考えを敵視しがちです。それでは際限のない悪循環になっていきます。そこでは否定的認知にやみくもに反応せず、少し距離を置いてその考えにのみこまれないようにすることを目標にします。常に「バランス思考」を合言葉にして患者さんと取り組んで行きます。

気分の悪化と認知行動療法のイメージ図

FAQ　よくあるお問い合わせ

そちらの認知行動療法は厚労省が保険診療を認めた特別なプログラムを実施していると聞きました。他の病院に通院していますがそのプログラムだけを受けに通院していいですか？

その特別プログラムは当院に通院されている患者さんのみに提供されます。内容は厚労省が細かく指定しており、毎回40-50分、合計16セッションに及びます。毎週受診しても終了までに４か月かかります。かなりハードで、大抵の方は途中で脱落するために、当院の患者さんの中から選定しています。申し訳ありませんが、保険外でグループセッション等を行っている施設がありますのでそちらをお探しください。

• 通常治療（通院精神療法）も認知行動療法の手技を取り入れて行っております。頭記の解説で触れたように良好な経過を得ていますが、身につくかどうかは本人次第です。

他の医院にかかっており、近所に転居してきました。これまで通り薬を処方していただけますか？具合はよくなっているので、長い時間の面接は必要ないのですが、、。

転居に伴う通院を始める方はたくさんいますので、これまで通りの処方をいたします。再診ではそれまで行かれた病院同様に短い時間でお帰りいただけます。

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