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うつ病(大うつ病性障害)major depressive Disorder

日本人の誤解が多いため、うつ病性障害から抑うつ障害に病名変更

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「医者がうつ病という診断の患者を安易につくっている」という話題が日本精神神経学会のシンポジウムでは毎年のようにとりあげられてきました。「うつ病は増えていない!」というタイトルでたくさんの研究者や専門家が講演をした事もあります(精神経雑誌、111(6);649-656, 2009)。
 なんらかの理由で憂うつな人が増えただけであり、精神科がメンタル○○とか他の科の病院が心療内科を標榜して敷居を低くしたので患者さんが受診しやすくなった事とうつの質問式テストだけで拙速に診断する人がいた事なども関係すると思われます。また1999年にSSRIと呼ばれる抗うつ剤の発売と同じころ、薬剤の消費者直結広告が許可されましたが、それと期を同じくし「うつ病患者が急増した」と言われています。ストレス性の出来事で不安や憂うつになったりして眠れないという経験は誰しも覚えがあるものですが、それの少し重いものを「うつ病」とよぶらしい、、。「こころの風邪」とのCMのキャッチ等はストレス性の憂うつな状態を「うつ病」に加えて拡大させたと指摘されています。

日本で使われるアメリカの診断基準(DSM-5)によると、うつ病性障害エピソードとして少なくとも以下の症状のうち5つが同時に2週間以上存在するとされます(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院より抜粋)。

 1)ほとんど一日中、毎日の抑うつ気分(ゆううつ気分)
 2)興味、喜びの喪失
 3)ダイエットなどなしに体重の減少、あるいは体重の増加
 4)不眠または睡眠過多
 5)精神運動制止(考えが先に進まない)、あるいは焦燥(イライラすることです)
 6)疲れやすい、気力の減退
 7)自分にたいする無価値感、過剰で不適切な罪責感
 8)思考力や集中力の低下、決断困難
 9)自殺念慮、自殺企図(実行するということです)

これらは昔から「抑うつ状態」あるいは「うつ状態」と診断されてきたものです。Major Depresion:日本では大うつ病と訳されてきましたが、正確にはそれらの発症に、原因(理由)を問わない「主要な抑うつ状態」が適切な訳かと思われます。
 当院に来る英米人に尋ねても上記は「depression」と答えますが、あくまでも診断というより状態像なのです。彼らのdepressionには前のページで解説した‘内因性’の意味はありませんでした。この点についてはすでに私と同じ意見が論文となっています(精神神経学雑誌:2012年114巻886-905頁,2013年 115巻711-728頁)。

日本の医学部では精神科の教科書は伝統的にドイツ精神医学が採用されてきた歴史があり、これまで医師はうつ病と言えば主に’内因性‘を教科書で習ってきました(日本独自の伝統的な「うつ病」概念 精神神経学雑誌:2022年124巻91-108頁)。教科書にはドイツ語でDepression と表記され、英米のdepressionと綴りが同じ為に誤解が始まったと思われます。したがって、英米人のいうdepressionはドイツ語の「病気」を表すDepressionと別物だと言う事実をいまだに知らない医療従事者はたくさんいると推測されます。日本に流通する‘うつ病診断用’とされる簡易質問シートは米国の心理検査の翻訳版であり、もしこの当てはめ公式のみで診断する医療従事者やインターネットでの簡易テストの結果によりうつ病の診断の範囲がひろがった可能性があります。

 注:これらの問題に対処するため、DSM-5の日本語翻訳版からはDeressive Disordersを以前の訳の「うつ病性障害」から「抑うつ障害群」と変更して記載されています。このサイトでも現代のうつ病をうつ病/大うつ病性障害と翻訳された通り記載しました。

Meguro Mental Clinic目黒心療クリニック

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