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■ 内因性うつ病という言葉の位置づけ
「内因性うつ病」とは、かつて“心理的な原因が見当たらないうつ病”として扱われてきた概念です。日本では今も医療現場で説明に使われることがありますが、現在の国際的な診断基準(DSM-5)ではこの分類は用いられていません。
それでも患者さんがこの言葉を検索するのは、主治医から説明を受けた際に耳にすることがあるためです。そこで、歴史的背景と現代の理解を整理しておくことは大切です。
■ メランコリア(メランコリー型)の特徴
DSM-5 では、かつての「内因性うつ病」に近い概念として「メランコリアを伴ううつ病」という特定用語があり、以下の特徴のうち3つ以上が必要とされています。
1. 深い落胆や絶望感など、質的に明らかな抑うつ気分
2. 抑うつが朝に悪化する
3. 早朝覚醒(通常より2時間以上早く目が覚める)
4. 著しい精神運動制止または焦燥
5. 明らかな食欲不振または体重減少
6. 過度または不適切な罪責感
→「朝に悪化する」とは
日常生活におけるストレスで朝がつらいという意味ではありません。身体のリズムの変化によって、起床直後から強い不調が出るという特徴を指します。
→「罪責感」の特徴
まだ結果がでていない出来事について「自分のせいでみんなに迷惑をかけた」」など、根拠のない強い自責が生じることがあります。これは一般的な“自己嫌悪”とは全く性質が異なります。
■ 生物学的仮説と治療の歴史
かつては、メランコリア(内因性うつ病)は生物学的な要因と強く関連すると考えられ、抗うつ薬が特に効果を示すタイプとされていました。
私は若い頃、研究所でモノアミン仮説の矛盾(効果発現の遅さなど)について議論し、ラットや培養細胞を用いた抗うつ剤の作用メカニズム研究に携わっていました。
やがて1999年あたりにSSRIが登場してからは当時の臨床では、心理的ストレスによる抑うつ状態まで一律にこの仮説で説明され、SSRI が広く投与されていた背景があります。その結果、ストレス反応による抑うつ状態の方が「うつ病」と診断され、薬が効かずに困ってセカンドオピニオンとして病院を受診されるケースも少なくありませんでした。
こうした経験から、現在では “薬が効く・効かない”だけで内因性かどうかを判断することは適切ではない と考えられています。
■ 現代では「内因性うつ病」は多くないと考えられている
当院でも、明確にメランコリー型(内因性)と診断できる方は多くありません。 近年では「このタイプは従来考えられていたほど頻度が高くない」という報告も増えています。
また、最初にこのタイプと診断されても、後から別の病態であったと分かるケースもあります。 症状の表現方法は人によって大きく異なるため、医療者が主観的に当てはめてしまうと誤診が起こりやすいことも指摘されています。
☘治療のワンポイントアドバイス
内因性は「脳のエネルギー切れ」の状態と説明され、”まずは休養と薬物療法が優先される”と伝統的に指導されて来た歴史があります。大切なのは「動けるようになってからの再発防止」が重要で、当院は認知行動療法の併用による再発の防止に重点をおいて取り組んでいます。
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